運動(exercise)は身体活動の1つであり、一般に、歩く、泳ぐ、投げるというような大きな筋を使用して重心を移動させるような身体活動を指し、人間の生理機能すべてと関わり合っていると言っても過言ではないのです。
そのため、運動をするということは、すべての生理機能を刺激することになり、適度な運動は、生活習慣病予防、健康維持増進にはとても効果的な手段と言えます。
生活習慣病は、全身持久性に関連する生理機能、つまり、呼吸・心臓循環系、さらには神経系の衰えによって起こりやすくなると言われています。
適度な運動をすることは、呼吸・心臓循環器系、神経系などの機能に対して常に刺激を与えていることであり、それらの機能の向上を図っていることになります。
また、何らかの原因で生理機能が低下してしまった人たちも、運動をすることで、ある程度の回復が期待できるのです。
運動のすすめとしては、運動をすることにより体力を向上させることができます。
体力というと身体活動だけのイメージを持つ人が多いでしょうが、体力には「防衛体力」と「行動体力」があります。
防衛体力とは外の環境の変化(暑さや寒さなど)や細菌の侵入などのストレスから身体を守る受け身の体力のことです。
それに対して積極的に意志を含んで働きかけるような力を行動体力と呼び、作業や運動の能力と考えてよいでしょう。
一般的に行動体力が高い人は防衛体力も高いと言えます。
運動は行動体力の向上というイメージが強いですが、健康増進のための運動とは、身体運動により行動体力を向上させながら、防衛体力も同じく向上させていくことであり、どちらの体力も生活習慣病予防のためには備えておかなくてはならいものです。
適度な運動が生体に及ぼす影響としては、
運動により増加するもの⇒身体運動能力・最大酸素摂取量・心臓における1回拍出量・HDLコレステロール、
運動により減少するもの⇒負荷に対する心拍数・収縮期血圧・中性脂肪・肥満度
健康づくりのための適当な運動の例として
(厚生労働省⇒毎日行う場合の30代健康の人と対象にした1日の運動時間)
速歩(100m/分)―25分、
エアロビックダンス(軽く)―25分、
自転車(18km/時間)―25分、
水泳(ゆっくりした速さ)―25分、
ジョキング(120m/分)―25分
運動を開始する際は自分の健康状態を十分に把握し、開始後はその効果、影響について適宜評価し、必要に応じて内容の変更、中止なども考える必要があります。
そして、決して無理をしないこと、何よりも心の負担にならないことが大切です。
安全で楽しく、充実感が得られ、心身の躍動を実感できるような自分に合った運動を長く続けていくことが、健康増進につながります。